『心の玉手箱』を日本ロータリークラブ2660地区に寄稿しましたので、内容を掲載させて戴きます。
(トップの画像は2014年11月、当クラブ会員がネパールのツアーに参加した際、ポカラのさくら寮を訪れ、ピアニカを贈呈しました時の様子です)
過去に行われた大阪堂島RC国際奉仕事業のなかで「日本ネパ-ル女性教育協会」支援を8年間にわたり継続してきました。
男性中心社会で女性の権利が殆ど認められていないネパ-ル山間部では、カバロレア(全国統一実力試験)でたとえ優秀な成績を
残しても、家庭の働き手として家に留まることを強要され学業を続けることができないの女性が殆どです。
そんな山間部で暮らす貧しくても優秀な女性を毎年10名選考し、ネパ-ル第二の都市ポカラの寮で2年間暮らし大学で教員免許を
取得させるプログラムです。そのすべての費用は日本の理解ある支援者からの支援金で運営されていました。
「さくら寮」は山下泰子先生夫妻が発起人となり善意の寄付で建てられ、その趣旨に賛同した竹中工務店社員たちの無償の善意で設計されました。
ポカラで教員免許を取得した女性教師は地元に帰り3年間の教師生活を送ることになります。10年間で100名の女性教師を育て上げるプロジェクトです。
各年度の最優秀卒業生は東京の文京学院大学に一年間留学することができ、そこで学んだことを他の9名の先生に伝えるという素晴らしい教育循環システムは
ネパ-ル女性の地位向上だけでなく山間部の教育機会の少ない子供たちに幅広い教育を提供してきました。
10年で100名の女性教師を育てる初期の目標は2020年に達成され、この民間で運営されてきたプロジェクトは2021年末で解散することになりました。
10年間にわたりネパ-ル社会に及ぼした成果とその実績はネパ-ル・日本両国に認められ、これからは開発途上国支援を行うJICA国際協力機構に引き継がれることが
決まりました。民間で築き上げたこの教育システムを日本政府・JICAにより大きく発展させてくれるものと期待します。
最優秀のご褒美で東京に学ぶネパ-ル教師の卵に大阪堂島RCが京都観光に案内し、淡路島で生まれて初めて海を見た時の輝いた眼が忘れられません。
日本の戦後を復興させるには若者の教育しかないとアメリカ上院議員フルブライト氏は優秀な若者をアメリカに招き2年間大学に学ばせて、
帰国したそのフルブライト卒業生が日本の戦後復興に大きく貢献しました。
我々ロータリアンが今すべきことは「アジアの学びたい若者たちに教育機会を提供すること」であることをあらためてこのネパ-ル女性教師育成プログラムから学びました。
大阪堂島ロ-タリ-クラブ
国際奉仕委員会 城ヶ辻保